中里税務会計事務所






〜一時所得として申告が必要なケース〜


1年間の医療費の支払が10万円を超える人
医療費の支払が10万円以下でも、合計所得金額の5%を超えている人


医療費を一定額以上支払った場合には、「医療費控除」として所得から差し引けます。この場合、自分だけでなく、生計を一にする配偶者、その他の親族の分の医療費も対象になります。
この「医療費控除」は、サラリーマンであっても会社が行う年末調整では控除を受けられませんので、自分で確定申告を行い税金の還付を受けることになります。しかし、ひとえに医療費といっても控除が認められるものやそうでないものなど、要件がありますので注意が必要です。また、医療費控除を受ける場合には、「医療費の明細書」の添付が必要です。






申告書 確定申告書または確定申告書
添付書類 源泉徴収票、医療費の領収書、レシートなど。明細書が必要な医療はその「明細書」と領収書
※複数のケースに該当する場合にはそれぞれのケースを参照してください。

医療費控除の対象となるもの、ならないもの
医療費控除には、控除対象となる医療費とそうでないものがあります。例えば病院への支払いだけでなく、薬局で購入したかぜ薬や胃腸薬、湿布などについても治療目的のものであれば控除可能です。
しかし、健康維持の目的のためのサプリメント代などは医療費控除の対象にはなりません。そのため、薬を購入した時の領収書やレシートは必ず保管し、内容の記載がない領収書については薬品名などを記載しておきましょう。詳細については医療費控除の可否判定表」を参照してください。


通院費用の取り扱い
通院のためにかかった交通費も医療費控除の対象となります。ただし、基本的には電車やバスなど公共交通機関を利用した場合の交通費であり、やむを得ない場合を除いてタクシー代やマイカーのガソリン代などは控除対象にはなりません。
また、通常電車やバスは領収書が出ないため、日付や金額を書いた詳しい乗車のメモを残しておくことが必要です。

未払いの医療費は認められない
医療費控除の対象となるのは、その年の1月1日〜12月31日までの1年間に「支払った」ものだけです。例えば今年治療を受けても、今年中に支払いが済んでいない場合には、翌年以降の医療費控除の対象となります。反対に、去年治療を受けていても、医療費を今年支払っている場合には、今年の医療費控除の対象に含めることができます。

『生計を一にする』家族の範囲
「医療費控除」は本人にかかった医療費だけでなく、生計を一にし、扶養している家族の分も控除を受ける対象となります。
この場合の「生計を一にする」とは、必ずしも控除対象配偶者や扶養親族のみをさすわけではありません。以下のような場合も、生計を一にしていれば医療費控除の対象となり、その支払いを負担した人が医療費控除を受けられます。
配偶者控除の適用を受けていない共働きの夫婦で夫が妻の医療費を支払った場合
父親が社会人の娘の医療費を支払った場合
妻子に生活費を送っている単身赴任の夫が妻子の医療費を支払った場合

医療費から差し引くべき保険金・差し引かない保険金
医療費を支払ったあと健康保険や生命保険から出産育児一時金や入院給付金などの保険金が支払われた場合、このような保険金は医療費の補てんを目的とするため、支払った医療費から差し引かなければなりません。しかし、保険金の中には出産手当金など医療費の補てんを目的としないものもあり、このようなものは医療費から差し引く必要がありません。
下記の、「証明書等が必要な主な医療費」の表を参照してください。

医療費控除額の計算の仕方
医療費控除の計算の仕方は、合計所得金額が200万円以上か未満かで異なります。
   
所得金額
医  療  費  控  除  額  
200万円
以   上
 1年間に支払った医療費−保険金などで補てんされる金額−10万円
200万円
未   満
 1年間に支払った医療費−保険金などで補てんされる金額−所得金額の5%

証明書等が必要な主な医療費
寝たきりの人のおむつの購入費用
寝たきりの人を担当している医師が発行した「おむつ使用証明書」とおむつ代の領収書を添付した場合に控除を受けられます
ストマ用装具の購入費用
治療を担当している医師が発行した「ストマ用装具使用証明書」と支出したストマ用装具代の領収書を添付した場合に控除を受けられます
治療のために必要な眼鏡の購入費用
所定の処方せんに医師が疾病名および症状を記載したものの写しと眼鏡取扱店が発行した領収書を添付した場合に控除を受けられます
温泉利用型健康増進施設の利用代金
温泉療養を行わせた医師が作成した「温泉療養証明書」と、認定施設の利用料金にかかる領収書を添付した場合に控除を受けられます
指定運動療法施設の利用代金
運動療法を行わせた医師が作成した「運動療法実施証明書」と、指定運動療法施設の利用料金にかかる領収書を添付した場合に控除を受けられます




種  類 控除できるもの 控除できるないもの
医師に支払った診療費、治療費 診断書作成料
医師の往診費用 通常の健康診断、人間ドック代
人工透析の費用 美容の目的のための整形手術代
病気が発見された場合の健康診断、人間ドック代
病院などへの入院費、部屋代 身内の付き添い人の布団代、食事代
差額ベッド料金(やむを得ない場合) 病院に支払うテレビや冷蔵庫の賃借料
病院から給付される患者の食事代 入院のための身の回り品の購入費用
入院のための氷枕や氷のうの購入費用 寝巻き等のクリーニング代
シーツ等のクリーニング代で病院に支払うもの 医師や看護師に対する謝礼
付き添いを頼んだ人(看護資格を持つ人)への報酬
上記付き添い人の食事代
通院のための電車代、バス代 患者の世話のための家族の交通費
電車等の利用ができない場合のタクシー代 自家用車で通院するためのガソリン代
通院のための付き添い人の交通費 自家用車で通院した場合の駐車料金
治療のためのマッサージ代、ハリ代 健康維持のためのマッサージ代、ハリ代
指圧師等有資格者による施術代 マッサージ機等の健康器具の購入代金
出産のための入院費用 妊娠確認のための検診料(非妊娠の場合)
出産のための入退院のためのタクシー代 無痛分娩講座の受講費用
出産前後の定期検診
助産師への報酬
母体保護法に基づき医師が行う妊娠中絶費用
不妊症の治療費
歯科医師に支払った診療費、治療費 美容のための歯列矯正費用
金歯、金冠などの代金
歯列矯正費用
成人で日常生活に支障がある場合の歯列矯正費用
医師の処方による薬 健康維持のためのサプリメント
薬局で買った風邪薬、胃腸薬 医師の処方のない漢方薬
医師の処方のある治療用の漢方薬 食事療法に基づく食品の購入費用
丸山ワクチンの購入費用
医師の指示による注射器・血圧計 健康維持のための血圧計
ペースメーカーの取付および電池の交換 空気清浄機
治療のための眼鏡(医師による処方箋要) 大人用の近視や遠視の眼鏡代
通院のために必要な松葉杖、車椅子 日常生活用の車椅子
ストマ用装具にかかる購入費用(「ストマ用装具使用証明書」および領収書の添付要) 歩行練習用の歩行器
寝たきりの人のおむつ代(「おむつ使用証明書」および領収書の添付要)




種   類 医療費から差し引くもの 医療費から
差し引かないもの
社会保険等からの給付金 療養費、家族療養費、出産育児一時金等 傷病手当金・出産手当金等
生命保険・損害保険等
か ら の 給 付 金
障害費用保険金、入院費給付金等 傷病保険金等
そ    の    他 医療費の補てんを目的とした損害賠償金